熊本大学特別シンポジウムを開催  未来に向けたまちづくりを考える

更新:2017-11-14

6月に開催された熊本大学特別シンポジウム「豊かな未来を私たちの手で」。日本が福祉国家志向から全員参加社会に向かって変化を迎える中で、これからのまちづくりについて考えるきっかけとなりました。

福祉国家志向から全員参加社会へ

コミュニティデザインに携わるstudio-L代表・東北芸術工科大学教授の山崎亮先生、24時間体制の在宅総合診療に取り組む医療法人社団悠翔会理事長の佐々木淳先生が講演。シニアライフデザイン代表の堀内裕子さんの司会で討論会を行いました。

学生約160人、一般から約90人が参加。実行委員の熊本大学大学院生命科学研究部の安武綾先生と認知症カフェas a cafe( アズ・ア・カフェ)副代表の岡元奈央さんに聞きました。

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厚生労働省は、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。

今、日本はこの地域包括ケアシステムに代表されるように、福祉国家志向から全員参加社会に向かって大きな変化を迎えているといいます。
「この変化の中で、先駆的な活動をしている方たちのお話を聞こうと企画しました。必要になって初めて介護について知る方が多いと思いますが、早めに知って対応し、助け合いの環境ができれば、未来への不安がなくなると思います」と岡元さん。

講師の山崎先生は建築士で、各地でまちづくりに携わり、佐々木先生は在宅医療のパイオニアとして持続可能なシステムづくりに取り組んでいます。司会の堀内さんは介護業界とビジネスをつなぐコンサルタント的な立場で活躍しています。

安武先生は、「地域を巻き込んだまちづくりについて、在宅医療の視点とコミュニティデザインの視点から、学生たちが学べればと考えました。まちづくりをする上で専門職だけでは何もできないと実感しています。医療だけでなく、違う業界の方と手を組み、面白さや楽しさを取り入れることも大事です」と話します。

 

学生たちが企画・運営にも参加

今回のシンポジウムは、「Orange Community Lab(オレンジ・コミュニティ・ラボ=OCL)」が企画しました。OCLは、学生主体のチーム「Orange Project(オレンジ・プロジェクト)」と、アズ・ア・カフェのコラボプロジェクトです。「地域のエンパワメントを活性化させる」をコンセプトに、認知症の人とその家族が安心して暮らせる社会を目指し、活動しています。シンポジウムの企画・運営にもOCLのメンバーが加わり、当日は活動報告を行いました。

参加した熊本大学医学部保健学科看護学専攻の学生たちに聞きました。「在宅医療は奥が深いと思いました。これから増えていく在宅医療の大切さを実感しました」と寺本実由さん。下城愛さんは、「地域住民が自立して活動するために、直接何かをするのではなく、考えるための手助けをする、という山崎さんのお話が印象に残りました」と話します。

「高齢になってからは、効率ではなく、ゆっくり物事に取り組むことが大事だと聞き、高齢者はそういう能力が必要だから、動作がゆっくりになっているのだと考えられるようになりました」と浦田姫佳さん。
内野成美さんは「医療の現場で働く時に、病気だけに目を向けるのではなく、その人自身のライフスタイルや思いを傾聴できる人になりたいと思いました」と話してくれました。

 

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豊かな未来へ向けて

安武先生は、「健康には、人とのつながりを持つことが重要だと分かってきています。参加者の間で共通理解が進み、同じスタートラインに立てた意味のあるシンポジウムだったと思います」と振り返ります。

実際にまちづくりに取り組む場合、地域の状況も関わる人も違うので、全く同じことはできません。そこで、まちづくりをマネージメントするコミュニティデザイナーのような人材が、各地域に必要になります。

「アズ・ア・カフェの取り組みも、人材育成に役立つと思います。山ノ内校区では『山ノ内ドリームプロジェクト』という活動が始まっています」と安武先生。このプロジェクトにはOCLのメンバーも参加しています。

岡元さんは、「認知症になっても自分らしく生きていくことは可能で、笑顔で過ごしている認知症の方々を見れば年を取ることが怖くなくなると思います。私自身もっと若いころは、年を取ることに不安を感じていましたが、今は前向きにとらえることができています」と話します。

豊かな未来に向けた取り組みが、ここから始まります。

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