腰痛予防や人手不足対策に 福祉用具を活用し 〝抱きかかえない介護〟を実現

更新:2017-05-01

抱きかかえる介護は、介護する側・される側どちらにも大きな負担となります。特に介護が原因の腰痛は、大きな問題となっています。そこで作業の負担を減らす福祉用具が注目されています。


移乗介助の負担で腰痛が多く発生

表1腰痛は職業性疾病の6割以上を占めています。介護の現場では、ベッドから車いすへの移乗、トイレやお風呂への移動や介助など、抱え上げる動作が多く、腰部に大きな負担がかかります。

厚生労働省は平成25年に「職場における腰痛予防対策指針」の適用範囲を福祉・医療分野における介護・看護作業全般に広げる改訂を行いました。

社会福祉・介護事業における労働災害は、年々増加傾向にあります。事故の型別では「動作の反動・無理な動作」と「転倒」が多数。移乗介助中などの無理な動作が原因で、腰痛になる人が増えています。

 

表2腰痛が人手不足の一因

医療・福祉機器を販売するケアフォース代表の北村健太さんは「介護現場からの離職が多く、お困りの施設が増えていると聞きます。身体への負担、特に腰痛も大きな要因の一つです」と指摘します。「国際規格では23㎏以上のものを持ち上げてはならないとされていますが、介護では50㎏や60㎏というような重さの人々を抱え上げているのが日常です」

厚生労働省は、腰痛予防のために、作業の姿勢や実施体制、作業環境を見直すとともに、「人を抱え上げる作業は、原則、人力では行わせない。福祉用具を活用する」という指針を出しています。

写真2「ケアに携わる方や家族介護における身体的・精神的負担を少しでも減らせるように、介護度に合わせた機器で省力化できればと思います」と北村さんは力を込めます。

 

介護する側・される側の負担を軽減

抱え上げる介護は、介護される高齢者にも負担となる場合があります。

「女性の場合、男性の介助者にいきなり抱えられることに抵抗がある人もいるでしょう。抱え上げる時に力がかかって痛みを感じる場合や、皮膚が薄い方ではアザになってしまうこ写真3ともあります。介助者が誤って手をすべらせるなど、事故の危険性も拭いきれません」と北村さん。

福祉用具を適切に使用することで、危険を減らし安全性が高まると期待されます。また、介護に関わる職員の数を減らすこともできます。

「福祉用具を使うことで、誰が担当しても一定の介護の質を保てるようになります。3~4人で行っていた入浴の介助を2人でできるなど人手不足の解消に役立ちます。入浴やトイレの介助も少人数で対応でき、介護時に体を密着させる必要がないため、介護される方の尊厳を守れるという面もあります。また、正面から目を合わせることができるので、スムーズなケアが期待できます」

 

北村さん福祉用具でサポート

欧米ではさまざまな福祉用具が活用されています。腰痛予防に有効な福祉用具には、リフト、スライディングボード、スライディングシート、スタンディングマシーンなどがあり、対象者の状態によって使い分けます。北村さんは、実際に見て触って、どういうものか知るところから始めるようにすすめます。

「年をとるのは自然なことです。介護が必要になっても、今までの生活を尊重した尊厳のある介護を福祉用具の面からサポートできればと思います」

介護する側、される側、ともに豊かな生活を送るために、福祉用具を取り入れ、介護の質を上げていくことが求められています。

写真手順ポイント

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